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ウラン堂ギャラリー 企画展vol.14

赤阪友昭写真展 『水のゆくえ、石の記憶』

-uisce agus cloch-

2013.10/5.sat~10/27.sun

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森の再生を手がける友人に尋ねられたことがある。
「山の傾斜面がどのように決定されるか、知っていますか」
彼いわく、山を形成する岩盤の堅さとそこを流れる水の量なのだという。
つまり、この地球上に見えている風景のほとんどは石と水が創りだしたものなのだ。
にもかかわらず、大地の下を流れる水のゆくえを私たちは知らない。
2010年の秋、ようやく日本の水をテーマに撮影を始めていた。
水のゆくえを追って、源流の森を歩き、瀧を訪ね、夜明け前の海に佇み時間を過ごした。
そして、2011年3月11日を迎えた。
以来、知っているはずの風景は「繋がり」を失い見知らぬ土地へと転化し、時間だけが過ぎていった。
ふたたび大地との繋がりを取り戻すため、この惑星の古い記憶を辿る必要があった。
2012年、石への旅がはじまった。
石が内包する記憶は、遥か何億年もの古よりこの星に生きた生命によって残されてきたもの。
ある意図のもと幾何学的な構成を持つ立柱石群、ストーンサークルの中に立つ。
石の間を風が吹き抜ける。風が引き起こす微細な振動は石群の中で渦となり共鳴し、
そこに残された記憶の欠片は覚醒する。
しずかに…、耳をすましてみる。
やがて、それらは私たちの記憶の奥底へと辿りつく、記憶の転生。
それは未来への希望。
石に立つ。水を憶う。

※“uisce agus cloch”とは、スコットランド・ゲール語で「水、そして石と」という意味。

赤阪友昭/Akasaka Tomoaki

写真家

1963年大阪市生まれ。
1996年よりアラスカやモンゴルにて撮影をはじめる。雑誌『Coyote』や『SWITCH』に写真や文を掲載し、プラネタリウムの番組制作や国立民族学博物館での写真展など「未来へ継ぐべき命」をテーマに活動を続ける。2000年には『神話を語り継ぐ人々』と題し、北海道・熊野・東京にてアイヌとアラスカ先住民の国際交流イベントの総合プロデュース、2006年から2008年の三年をかけてアラスカ州シトカに故・星野道夫のためのトーテムポールを立てる『星野道夫トーテムポールプロジェクト』を共同プロデュース。現在は日本各地に残された森が内包する信仰、縄文文化や祭祀を取材。2009年から写真ギャラリーphoto gallery Sai(大阪)を主宰。近著に『The Myth-神話の風景から-』がある。